こんにちは。早野です。今日もお読みいただきありがとうございます。

 

最近ある子の部屋でたまたま読んだ本で「コンビニ人間 村田さやか著」という本がありました。芥川賞を受賞して話題になったのでご存じの方も多いかもしれません。ネタバレを含みますのでそれが嫌な方は読まれないでくださいませ。

 

★発達障害の世界を描いた本

 

ASD傾向の主人公の物語(サイコパス傾向?)でネット上の書評では、「気持ち悪い」「怖い」という意見がありましたが私は読んでいて爆笑でした。グーグルの検索キーワードを見ていて俺ってヤバいのかなと思いました(笑)

 

この物語を要約すると、

 

>主人公の古倉恵子は36歳独身で、コンビニのオープンから18年間アルバイトしています。(早野注釈:なんと大学1年生からずっと)

 

>子供の頃から変わっていて、家族からはいつ「治る」のかと心配されながらも愛情を受けて育ちます。

 

>自分が変わっていることを自覚してからは、普通の人間であろうとします。

 

>コンビニで働いているときは「コンビニ店員」でいられますが、制服を脱いで一人の人間になった途端に居心地の悪さを感じます。

 

なんとなく作品の雰囲気が伝わってきたでしょうか??

 

ついでに精神科医の批評ものせます。

 

★「普通」の人とずれるのを頭脳でカバーする

 

>もっともヒロインの恵子は、精神医学的にみると「怪物」というわけではなくASDの特徴が顕著である。

 

>彼女は公園で死んでいた小鳥をみなが墓を作って埋めようと言っているのに一人焼鳥にして食べようと主張するし、

 

(早野注:冷静に考えればそのほうが合理的ではあるしみんなが幸せである。生きていて死にたくないであろう鶏をチキンにするほうがよほど可哀そうだろと。ただし、コスパが悪い気がするが。)

 

>同級生のけんかを止めてと言われた時には、スコップで同級生の頭を殴打して怪我をさせたため職員会議にかけられた。

>だが恵子には、なぜ自分が怒られているのかわからなかった。

 

(早野注:この件に関してはメリットとデメリットを説明すれば良かったと思う。もしくはいかに「良かれ」と思っても喧嘩両成敗をするには権威と権力とその手続きが必要であると社会科学的な説明をすれば良かっただけではないかと。小鳥の事例の件といいここらへんのマニュアルや別の論理を教えてあげればよかったのではないかと。むしろ周りがバカばっかりなのが問題であるとも思われてくる。)

 

>家族からも学校でも、彼女は変わった子供と思われていた。恵子は言葉を文字どおりに受け止めてしまうし、他人の気持ちや考えを推し量ることができない。

>けれども自分の行動が周囲に迷惑をかけていることは理解したので、彼女は集団の中で問題にされ「異物」にならないために、

>極力口をきかずにおとなしくしているように努力した。他の人のまねをするか、誰かの指示に従っていれば大きな間違いはしないですむのだった。

>このような特徴を持つ彼女にとって、マニュアル化した対応を求められるコンビには、ぴったりの職場であった。

>つまりこの小説はASDの特性を持つ女性が「普通」の世界にどう適応すればよいのかを描いた作品なのである。

 

 

そうなんです。ASD的な人がどう世界に適応するのかを描いた作品なんですね。

 

★人間機械学習という生きる道

この恵子のやり方は俗に人間機械学習と言われています。

 

自分が変わっているようだと自覚→ひとまず黙って観察する→パターンをマニュアル化して現実で実験する。

 

私もこのやり方ですね(笑)ASDの人は数学が好きな人が多いのでこのやり方が良いと思います。というか、それ以外に無いのではないか、、、

 

>恵子は言葉を文字どおりに受け止めてしまうし、他人の気持ちや考えを推し量ることができない。

 

私も真に受けるのに気づいてからは真に受けないようになりました。ここはかなり改善できるのではないかと思います。事例を収集して論理的に物事を見ていけば。

 

例えば、統一教会と政治のつながりが報道されていますがそんなのは記者は知っていたはずだと。マスコミはまるであてにならない。そんなものを真に受けるはアホだ。という感じでしょうか。

 

私の観察では発達障害というもののフレームや理論で世界を切り取るのは違うのではないかという気がしています。そもそもどっちも障害者ではないかと思いますが多数派の方はそれだとご不満なんでしょうね(笑)論点にして説得するほどでも無いので別にどうでも良いのですが。

 

ただし、物語は主人公がコンビニの仕事に戻るという結末でハッピーエンドとは言い難い、という意見が多かったです。たしかにそう思います。

 

★エンディングを真面目に考える

 

さてこの作品について考えるに際して著名な作家の書評を参考にしてみる。

 

>作家の山田詠美は、「コンビニという小さな世界を題材にしながら、小説の面白さの全てが詰まっている。

 

>十年以上選考委員を務めてきて、候補作を読んで笑ったのは初めてだった」と評価した。(早野と同じ感想の人がいた!!!良かった!!!)

 

>村上龍は、「この十年、現代をここまで描いた受賞作は無い」と評価した

 

 

さて村上の言う現代とは何か???

 

それは過去の作品を見ると資本主義と多様性への寛容さの行き詰まりであると思います。

 

まー誰もが金持ちになりたい。でも格差が拡大して治安が悪化してテロが増えるのも嫌だ。そうなると無限に経済成長が必要である。しかし人間の衣食住への消費には限界がある。さらには誰もが安く済ませたい。そうなると無限に人口が増えてもらわねばならない。そうしないと経済成長が保てない。

 

しかし、地球の資源には限りがある。人類が200億人とか500億人とかになると困る。その意味では少子化の日本などの東アジア地域なども人口が増えている地域もいずれ必ず行き詰まる。そうなると宇宙空間か仮想空間しかない。

 

一方、他者への寛容性も建前とは裏腹に行き詰っている。それはなぜか??人間は脳や5感によって現実を認識する。視力0.1の人と視力2の人だと同じ世界を共有することはできない。それと同じようなことがあらゆる部分で現れる。

 

聴覚も触覚も過去の記憶もその時のエネルギー状態も無限に変数がある。よって人間は同じものを見ても同じ認識を共有することは絶対にできない。それによりどうしても他者を理解できない。そして他者に寛容にはなれない。

 

理解しているつもりでやり過ごし時には排除する異物を必要とさえする。なぜなら集団の中か外に敵を作らないとそもそも内部が一枚岩でないことが露呈するからである。書評に「怖い」という意見が多かったのはここらへんにも理由がある。

 

それは道徳ややる気の問題ではなく能力やエネルギー量の問題である。いちいち他人に心から共感していたら脳がパンクしてしまうし死んでしまう。それにより今までと違う視点や異物をどうしても切り捨てざるを得ない。

 

共通するのは資源やエネルギーの問題。

 

そこで興味深い研究がある。東大のVR研究所のものである。自閉症の人の見え方をVRで経験する研究がある。

 

 

 

自閉症でなくても違う視点を5感で得ることができる。時間や空間を超えることができる

例えば、不登校の子に30年後の姿をありありとリアルに体験させることができれば面白いと思う。実際にそういう研究があるようだ。

 

 

スタンフォードの教授の「仮想現実の心理学 VRは脳をどう変えるか?」がある。フェイスブックが名前をメタに変えるその前段階が描かれている。

 

5感の入力条件を変えれば人間のアイデンティティは変化するそうだ。それも当然で例えば、ある子が幸せな家庭に育てば「僕はできる」というアイデンティティを持ち前向きに生きていく。逆に別の入力条件であれば「コンビニ人間」のようなアイデンティティを持つわけだ。

 

その入力条件をVRでコントロールすれば別の結果が得られるという説が書かれている。それは当然にそうなるであろう。国籍や宗教や年齢や精神病だろうが犯罪者であろうが歴史的な偉人であろうが金持ちであろうが貧乏であろうが問わないはずである。

 

そもそも世界一の富豪になったイーロンマスクは言う

 

>イーロン・マスクやバンク・オブ・アメリカなど、世界屈指の富豪や有力者の多くは、

>人類が仮想現実の世界を生きていると確信している。

 

>未来のある時点で、現実と仮想現実との区別はつかなくなる。

>マスクいわく、この世界が仮想現実でないなら、

>人類はおそらく間もなく終わりを迎える、

>だからこそ仮想現実だと期待したい。

 

 

今後コンビニ人間や白羽さんにも「人間とはなんなのか」がわかる時代が来るのではないかという気がしている。

 

 

 

ではまたお会いいたしましょう。最後までお読みいただき有り難う御座いました。
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