こんにちは。早野です。
本日もお読みいただきありがとうございます。
先日、生徒にこう言われました。
自己肯定感の反対である自己否定と
フーコーの思想は同じじゃないですかと。
フーコーは現代文で頻出のフランスの哲学者で
監獄の誕生という本で有名です。
現代文ではよく出題されるので
知っておくと良いわけですが
不登校がより俯瞰して見れることに気づきました。
この生徒は口は悪いが
天才かもしれない。
★監獄化社会
20世紀後半に出版された
フーコーの内容はこんな感じ。
ある監獄の中に囚人がいる。
彼らは看守に見張られている。
「おい、そこ私語をするな」
「歩く時は前の人から距離をはなすな」
「おい、早く作業しろ」
「正しい作業の仕方はこうだ」
「前へならい。点呼するぞ。大きな声で返事をしろ」
と怒られている。
囚人たちは
「〇〇しなさい」「〇〇じゃなきゃダメだ」
と規律・訓練の日々。
さて、時が経ち囚人たちはめでたく監獄を出ました。
しかし、看守は心の中に住みついてしまい、
監獄を出た後も囚人たちは苦しむことになりました。
これを内面化と言います。
もう自由な身で看守に見張られてはいないのだけど
「あれをしなきゃダメだ」
「こんな自分じゃダメだ」
「自分は〇〇失格だ」
自己否定の日々。
誰かに見られているかもしれない。
(AI監視社会が進めば本当に見られていることになるでしょうが)
さて、お察しの通り
フーコーは現代社会自体が監獄なのだと言っています。
個人の内面に監獄が
内在化してしまっている社会という意味です。
意外なことにこの社会自体が監獄で
実際の監獄や精神病院にいるのは監獄から脱落した人々。
これを生徒に言われて
「君は頭がいいね~」と(笑)
★学校化社会、病院化社会
似たような言葉に
学校化社会や病院化社会というものがあります。
学校を出た後も「〇〇じゃなきゃ」
「もっと〇〇じゃなければ」
から現代人の多くは逃れられないというわけです。
これは学校や病院をなくせという話ではありません。
また、単純に学校に行かなくていいという話でもない。
「病院は消滅しました。出産は各ご家庭でお願いします」
「ええーーー」
保育所難民どころの話ではありません。
「学校はなくなりフリースクールのみになりました」
子どもは喜び、親は激怒。
まーそうなっても結局、
予備校のようなフリースクールが乱立。
経営効率も重視されるので
今の学校の形式と大して変わらないでしょう。
本当に「フリーな」スクールはおそらくごくわずか。
本気でやるなら大学や企業に入るための試験を
抽選とかにしないと(笑)
問題の本質は内面が自由ではないことにある。
たとえ、学校に行っていなくても自由ではない。
むしろ脱学校化しているほうが
学校に行きやすいでしょう。
「じゃ、どうすりゃいいねん?」というのは
上野千鶴子先生の「さよなら学校化社会」が面白いですね。
不登校についても触れられていますが
面白い。私はファンになりました。
私の生徒は上野千鶴子先生みたいに
なれるかもしれないなと思いました。
目のつけどころはほぼ同じ。
共通テストは受けに行きませんでしたが(笑)
私大が第一志望なので合理的と言えば合理的ではあるけど
学者はきついかな。
★不登校の家庭に多い職業
さて、民間支援団体の俗説で
不登校の家庭に多い職業があげられています。
それは教育関係、医療関係、経営者。
これに「先生」と呼ばれる職業と警察や自衛隊なども加える。
するとたしかに、私のところも
これらで6割から8割くらいになります。
親御さんの親御さんやご兄弟なども考慮するとですが。
私の知り合いは医療関係だけで6割とおっしゃっていました。
東大出て催眠療法をやってる方w
(不登校専門ではない)
*ただし、民間団体だとサンプルが偏っているので
精神科医やSCさんなどに聞くと
また違う結論になりそうな気もします。
が、親の会を主宰している人のネット記事だと
教育、医療は入っていました。
話は戻りますが
監獄化社会(工場、軍隊、官僚制)、学校化社会、病院化社会。
これらは自己否定や自己監視が
内在化していることが多いという話でした。
「ちゃんとしないと」「失敗はダメだ」
「もっとこうしなきゃ」「正しい考え方は〇〇だ」
これは偶然ではないでしょう。
東大の上野千鶴子先生も言っている(笑)
こうやっていちいち権威を持ち出そうとするのが
内面化された学校化社会の被害者なのだそう(笑)
「制度や権威の服従者」として切られそう。
★現代社会への過剰適応
不登校は過剰適応と不適応があります。
過剰適応は期待に応えすぎてしまうこと。
合わせすぎてしまうこと。
良い子とか優等生という感じですね。
「なんであの子が不登校に」
と先生も友達も首をかしげるご状況。
不適応はそもそもの期待が分かっていないとか
合わせようと思っても出来ないとか。
神経発達症(発達障害)とかの診断がつく場合もありますが
つかないで単純に道に迷っている場合も多い。
勉強で言うと
何が分からないのか分かっていない状態。
その場合は「ありのままでいいんだよ」じゃなくて
「こうしたら?」と言ってあげたほうがいい。
*過剰も不も両方ある場合が多い気がします。
さて不登校は親御さんが現代社会で成功し
(裏を返すと過剰適応し)
子どもが不登校で苦しむことがあるというパターンも多い。
(過剰適応の部分が大きい)
入試問題の文章はやたらと現代社会批判が多く
生徒には「なぜか近代批判の文章が多いんだ」と説明していましたが
謎が解けました。
不登校や心理学の本を読むと
親御さんだけが規範型(〇〇しなきゃタイプ)なのかと
錯覚しがちですがそういうわけではない。
むしろ社会学とか歴史学、人類学的に見ると
時代の宿命というか被害者であると。
真面目に突っ走ってきたのにと。
その上で独特な感性があると
不登校になりやすい。
辛さとか暑さに強いタイプもいれば
弱いタイプもいるように。
★ポストモダンの未来社会を目指して
近代批判による近代以降の社会というのは
50年前から言われていますが
いっこうにその姿が見えてこない。
ですが、元不登校や元不登校の親御さんを見ていると
未来社会的な人生を歩み始めている人が多いことを感じます。
以前、お話しした元不登校の方たちはそんな感じです。
昭和的な生き方ではない。自由で幸せそう。
世界史で「ペストは近代の陣痛」という言葉があります。
豊かな近代社会はペストから生まれたという言葉。
ペストで人口の3分の1がお亡くなりになり
西欧の中世農奴制が解体され、
個人主義的・自由主義的な世の中になったと。
領主が少なくなった農民にやる気を持たせるために
自由を与えたという説です。
「一定の税を納めたら好きなようにやっていいよー」と。
不登校というのも
辛い側面も多いのかもしれません。
が、時代の先導者的な側面「も」
あるのではないかと思います。
元不登校の方やその親御さんで
「不登校は面白い人生の幕開けだ」とか「不登校というギフト」などと
肯定的に再評価する人も一定数いるからです。
コロナさん「もう少し頑張れよ」と思う時もありましたが。
★脱学校の社会のワークショップ
このタイトルのワークショップを
東京学芸大学が主催していたことで最近驚きました。
東京学芸大学といえば国立の教員養成の名門。
教育学部のみの大学。
それが脱学校化社会のワークショップ。
しかも、その主宰が
「変人類学研究所」という施設。
あの学芸大が変人研究(笑)
この変人類学研究所というのは
私の言いたいことを言ってくれている。
(不登校研究の機関では全くない)
>ぼくらは生まれてからこのかた、
>ずっと「変(変人)」だったのだ。>そこで起こっていることは、
>「ズレを生じないよう(変にならないよう)に努力している」や>「ズレていること(変な特質や状況)を
>ひた隠しにしている」>「ズレていないことを信じようとしている」
>「自分が<まとも>であることを確信するために、
>ズレている人や現象を排除している」だけのことだ。>このような人々の努力やマインドセットが、
>社会を閉塞的・排除的なものにし、活力を失わせ、>発想力を低下させ、創造性を奪い、
>他者に対する寛容性を減退させていることを
>突き止めたいと考えている。
私はこのために生まれてきたのではないだろうか。
去年末くらいからこう思うことが増えました。
不登校の子や周りが自分らしく生きるようになれば
(大変だけど)
新しいものが生まれてくる。
それを見た普通の人からも
もっとチャレンジが生まれてくる。
生きやすい人が増える。
そうしたら世界がもっと楽しくなる。
不登校「は」日本を救うのではないか。
むしろ普通に学校に行っている子を救うことになる。
私は不登校を「かわいそう」と思ったことは無いのですが
(気の毒だと思ったことはありますが)
言語化するとこういうことなのかなと。
信じがたい長文になってしまいましたが
最後までお読みいただきありがとうございました。
★新しいメルマガを作ろうと思います
題して、
「不登校の内のもやも~やにお宝がある
世界の未来発見メルマガ」です。(仮)
モーや君みたいなマスコットも作ろうかと。
子どもを理解する時に
自分も同じ感受性を持てるような
内容にしたいと思います。
感性が蘇ると生きていて楽しいです。
(苦しくもありますが)
配信頻度は不定期です。
このメルマガは継続します。
希望される方は下記からご登録いただければと。
匿名で大丈夫です。
こちらからご登録ください。
登録しましたというメールは迷惑メールに入ることが多いので
一応ご確認くださいませ。
また、登録がエラーになってしまう場合は
お手数ですがこのメールまでご返信いただければと。
件名にメルマガ希望のみでOKです。
本文にご挨拶やお名前などは不要です。
ではまたお会いいたしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。